下北沢にいこう。
外出が好きでもないくせに、週末を二日とも家で過ごすと憂鬱になる。
どこかに出かけるなら下北沢だ。そうだ、私はそろそろ観念して下北沢に行くべきだ。
思い立ったのでこれを書いている。
私は小田急線の複々線化で大きく変わったあとの下北沢を寂しく思っていた。
同時に寂しく思うほどには、かつての下北沢を知らないことも分かっていた。下北沢はまぶしすぎて、青春と呼べるほどには訪れなった、大切な街だった。
下北沢の変化で調べると、大体こんな感じで出てくる。
- 線路の地下化により「開かずの踏切」の解消と交通の円滑化
- 地下に潜った線路の上の「下北線路街」という新しいエリア開発
- 「支援型開発」という手法の導入
・住居併設の飲食店や物販店が集まる新しい形の商店街。
・低層分棟形式の商業ゾーン。個性的なセレクトショップやカフェ。
・ポップアップのキッチンカーが出店、多様なイベントの開催。
すごい。
もう下北沢のヴィレバンは、ねこじる特集をやっていないだろう。
私の中の下北沢といえば椎名林檎である。
当時鮮烈にデビューした彼女は「歌舞伎町の女王」だったし「丸の内サディスティック」だったが、私はずっと、彼女が下北沢に住んでいると思っていた。
意味が分からないだろうが私もだ。
ちなみにシド・ヴィシャスのことも知らなった。そのときに椎名林檎が付き合ってるバンドマンは外国人なんだと思っていた。現代のって言ってるだろうが。あとそんなエッセイみたいに自分のこと書かないから、歌詞に。
さらに私の中でふたりは同棲していたものだから、必然的にシド・ヴィシャスも下北沢在住となった。チェルシーホテルにシドはおらず、定期的に下北沢SHELTER付近に出没した。
(下北沢SHELTERは下北にあるキャパ250人ぐらいのライブハウスである)
下北沢SHELTERといえば、BUMP OF CHICKENは下北沢SHELTERでやってたよね?
妄想?
私のあこがれが全部下北沢にあると思ったがゆえの妄想?
恐ろしくなって調べてしまった。
今でこそドームやスタジアムなど超大規模な会場でライブをする彼らですが、インディーズ時代の1999年〜2000年頃にかけて、まさにあのSHELTERのステージに立っていました。
よかった。やってた。もしかして椎名林檎もやってた?
調子に乗って続けて検索した。
老舗ライブハウス、「CLUB Que(クラブ キュー)」の方には出演したことがあります!
彼女がブレイクした後の2000年9月19日に、下北沢CLUB Queで開催されたイベント「6VOLT ELECTRIQue JOIN 21st CENTURY」に出演していました。
え!やってる!
でも「ここでキスして。」の発売が1999年1月だから、やはりここキス作成時の彼女は、下北沢と何の関係もなかったようだ。そりゃそうだ。
とはいったが、私は私の思い込みの原因を知っている。
当時、彼女はサブカルを一般層にまで押し上げたといっても過言ではない存在で、イケてた。イケてたので下北沢に住んでいると思っていた。私にとってシモキタはそういう街だった。
本多劇場、ヴィレッジヴァンガード、古着屋。
学生時代に少ないお小遣いをもって出かけた。下北沢SHELTERは初めて行ったライブハウスで、ワンドリンク制(500円)のコインと引き換えたジンジャーエールに、ライブハウスって飲み物高いなあ!と泣いた。なんせ学生は金がない。
のちにこれはジュース代というより入場料のようなものだと知る。どおりでビールもソフトドリンクも料金一律だと思ったわ。お酒のほうが高い、という一心で、成人してからはシャンディガフを選んだ。
背伸びをして、マックではなく、「最初にショーケースからデリを選んでお会計をする」というカフェテリア形式のお店に行った。もじもじと目に入ったデリを注文し、まったくスマートではない速度で会計をした。高すぎる椅子と小さな丸テーブルは居心地がよかったわけではないけれど、店中の人たちが特別に見えた。
自分も特別なひとりなのかもしれないと思った。
今でも時々その記憶を取り出して、キラキラしたそれを上げたり下げたりして、幸福な気持ちになる、大切な時間を過ごした。
下北沢が好きだった。
時が経って、私はまた下北沢に行きたかったけど、真綿でくるむように触れていたからこそ、もうあのときの下北沢では全然なかったときに、取り返しがつかない気がして、二の足を踏んでいた。
実際、全然違うんだろう。サブカルの立ち位置や訪れる人々の様相も変わっている。
多様性は、あのころの雑多なものではなく、もっと洗練されていて、美しくて、私にはよそよそしいかもしれない。
それでも下北沢に、もう一度かかわりたいと思う。
擦り減らないように大切にしていたレコードを流すように、
逃げ場のない飛行機の中で、読み返すのをためらった本を開くように、このブログを始める。
というわけで、週末はお会いできればさいわいです。

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